出雲旅 with X-Pro2 + XF23mm F1.4, XF18mm F2, OM Zuiko 50mm F1.8

10月になった。

気がつけば2021年はもう2ヶ月で終わるという所まで来ている。

今年ももうすぐ終わるなぁということを考えていると、今年はどこにも遠出していないことに気づく。
昨年は仕事ではあるが県外に出る事があったが、今年はそれすらも無かった気がする。

という訳でリフレッシュも兼ねてどこかに行こうと思い、9月の末に出雲にいくことにした。

出雲は独特な土地で、日本の暦で10月のことを一般的には「神無月」というのだが、出雲だけは「神有月」という。これは全国に八百万いる神様が10月になると出雲に集まって会議をする為一般的には「神様がいなくなる月」→「神無月」、出雲は「神様がいる」→「神有月」と呼ばれるようになったそう。(諸説あり。ちなみに金比羅さんなど集まらず留守を守る留守神もいる)

国神(くにつかみ)を治める大国主命のもとに集まり、人智を超えたことを神議り(かむはかり)にかけて取り決めているとされる。
この神様達の会議は旧暦10月11日〜17日までの7日間行い、それに合わせて旧暦10月10日は「神迎祭」、旧暦10月11日、15日、17日は「神在祭」、旧暦10月17日、26日に「神等去出祭」が執り行われる。

この旧暦を今の暦に直すと大体11月になるので、その時期に行こうか?とも少し考えたが、出雲地方ではその時期は神様がいるので、祭りは行うけど悪いことせず慎ましくしましょう、という風習があるみたいなので(別にやましい事がある訳ではないが)神様達が来られる前に参拝しに行くことにする。

出雲には2回ほど行ったことがあったが、最初は小さい頃だったのでほとんど覚えていない、2回目は土台となる知識がなかった&平成の大遷宮で御本殿は隠れてしまっていた。

今回は平成の大遷宮も終わっているし古事記や出雲神話(風土記)などの知識がある状態での旅だったので、きっと楽しめると思いわくわくしながら出発までを過ごした。
勿論、コロナに対しての配慮は最大限しながらの旅を行った。(一人で黙って行動するし人が多い所は行かないし買い物はほとんどしないし宿もほとんど人と接触のない所にした)

さて、良い歳こいてワクワクしたあまりに前日なかなか寝れなかったのだが、無事に朝のバスに乗り込む。
シーズンオフ+コロナという事もありバスも高速もガラガラだった。
乗客は僕を合わせて4人の静かな道中。
運転手さんも心なしかのんびり。

高速に乗ってからはずっと晴れていて、流れる景色が眩い。

うっすらバスが走る音と振動を感じながらイヤホンで音楽を聴く。

窓に寄りかかり、高速なのでほとんど山間の道なのだが、その合間に見える民家や畑を見つけては人の暮らしを知る。

そうしてぼーっとしているとだんだんとまどろんでいき、差し込む柔らかな日差しも相まって生きているのか死んでいるのかわからない何とも心地よい空間になる。

と、ぼーっとしているとサービスエリアやバス停に着く頃合いになり目が覚める、というのが僕のバスの旅。
一時、毎月ぐらいのペースで高松広島間をバスで往復していて、慣れてからはこんな過ごし方が多くなった(もしくは疲れ果てて寝ているか)

そんなこんなでJR出雲市駅に到着。快晴。
天気予報では曇りだったが僕は天気運が良い。
いつもありがとうございますと思いつつ一畑電鉄の駅へ向かう。

電鉄出雲市駅
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
一畑電鉄
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS

出雲大社に電車で行くにはこの一畑電鉄を利用する。
車内は出雲大社やその周辺の街並みを意識した造りになっている。
僕と同じように一人で旅をしているであろう人が何人か見受けられる。さすが出雲。

乗り換えを挟み電車に揺られ、出雲大社前駅に着く。
やはり人通りはそんなに多くはないが、それなりには賑わっている。
家族連れの方が多いようだが、案外若い人も多い。
よくよく考えたら、出雲大社は縁結びのスポットとしての知名度が高いので、そりゃ若い人も来るかと納得。

迂迦橋の大鳥居
X-Pro2 + XF18mm F2 R / ACROS

今回の旅路だが目的地は大きく二つで、出雲大社と日御碕にいく事。
出雲大社はいわずもがな、日御碕は出雲大社から北西にある岬で、日御碕神社や日本一高い灯台がある。

初日は日御碕に行こうと元々思っていたが、移動のバスまでは時間がある。
時間もちょうど良いしお昼でも食べようかと思ったが、せっかく天気も良いし今のうちに稲佐の浜に行こうと思ってメインストリートからそれて歩きだす。

古い家屋などが並ぶが、生活感もちゃんとある。
平日なので非常に静かだ。
僕はこの「観光地の裏側にある生活感」みたいなのが好きで、どこかに出向いた際は必ず同じような場所を歩くようにしている。

出雲市 スナップ
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
出雲市 スナップ
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS

30分ほど歩くと海が見えてくる。

一面に広がる海。

転々と浮かぶ島はなく、青々とした空と海の間に水平線が広がっている。

水平線!そうだ、これは日本海だ!

よく考えたら僕はほとんど瀬戸内海しか見た事がなく、瀬戸内海は島が転々とある為一面に広がる海と水平線は見る事が出来ない。

地球はちゃんと丸いし、なんて大きくて広いのだろう。

なんて感動していたら海岸線沿いにずっと工事用の仕切りがあることに気づく。
まさかと思って歩いていくと案の定稲佐の浜周辺の護岸工事を行なっていた。

稲佐の浜
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
稲佐の浜
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS

幸い稲佐の浜自体には降りて弁天島を拝む事も出来たので、他にも何人かの人がいた。

国譲りの舞台となり、旧10月10日に神様をお迎えする場所。
同じように県外から来た人もいれば、地元の人らしき子供は普通に遊んでいる。

稲佐の浜 弁天島
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
稲佐の浜
X-Pro2 + XF18mm F2 R / ACROS
稲佐の浜 弁天島
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS

バスの時間まではまだ少しあったので近くにある屏風岩と因佐神社にも訪れる。

途中道が分からなくなったがそれもまた良し。
のんびり田舎をぐるぐる歩く。

民宿しらすな
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
屏風岩
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
因佐神社
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS

バスが来たので乗り込み今日の目的地、日御碕へ向かう。
岬に向かうのだから当然と言えば当然なのだが、バスは崖に沿ったグネグネ道をぐんぐん進む。
20分程すると日御碕神社に到着し、ほとんどの乗客がそこで降りて神社に向かう。

日御碕神社は朱塗りの大きな社殿が美しい神社だ。
奉っているのは「素盞嗚尊(スサノオノミコト)」と「天照大神(アマテラスオオミカミ)」という日本においてとても大事な神様二柱。
伊勢神宮が昼を守り日御碕神社が夜を守ると言われ、なので伊勢で日の出を見るのと出雲で日の入りを見るのはそれぞれありがたい事なのだとか。

日御碕神社
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS

下の宮、神の宮に参拝し、奥には稲荷神社があったのでそちらにも参拝。
こちらの稲荷神社は奥でひっそりと見守っているような感覚で、神社はやはり自然と共にあるのだなと思う。

朱塗りの姿や木の傷みが出てきている部分、装飾や木の組み方、神社はいくら見ても飽きない。
今までどれぐらいの人が祈りを捧げてきたのだろう、などいろいろ考えつつ写真を撮らせてもらう。

稲荷神社
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
稲荷神社
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
日御碕神社
X-Pro2 + OM Zuiko 50mm F1.8 / Classic Chrome
日御碕神社
X-Pro2 + OM Zuiko 50mm F1.8 / Classic Chrome

そうして少し神社で過ごしてから次の目的地の灯台の方へ向かう。

途中、経島の横を通る。
年に一度、宮司のみが上陸を許されている島。
国の天然記念物にも指定されていて、海鳥が巣を作る場所にもなっている。
遠目でしか見る事が出来ないのだが、それでも島の存在感を感じる事は出来る。

経島
X-Pro2 + OM Zuiko 50mm F1.8 / ACROS

と、歩いている途中でお腹も鳴り「そろそろ何か食べないと日差しも強いし倒れるんじゃないか」という事に気が付く。
だが稲佐の浜の辺りで薄々感じてはいたのだが、オフシーズンとコロナなのもあり観光客が少なく、お店もネット上では開いているが実際行ってみると閉まっている、という所も多い。
これはまさか今日はご飯抜きか…出雲駅についてすぐご飯にすれば良かった…

などとぶつぶつ心の中で独りごちながら灯台の側まで来ると、ご飯処があり「開いてます」の看板が!
助かった。
しかもこの辺りで獲れるものを使った海鮮丼が食べられる。最高だ。

普通の海鮮丼にしようかと伝えたら「ウニが美味しいですよ」という事でオススメされるがまま海鮮丼にウニが乗っている「古事記丼」を注文する。
「あと、実は今日はノドグロが揚っていて、お刺身が食べられるんですけど、いかがですか?」うん、それも。
という事でまんまと乗せられた感はあったが(しかもノドグロの値段は聞いてない)海の幸で無事に生き返る。
味噌汁の中には岩海苔が入っていて、これもこの辺りの名物のよう。全て絶品!

X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ASTIA
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ASTIA

お客さんは僕の他に大学生のカップルと40代ぐらいのご夫婦。
店員さんは暇そうだが静かな田舎のお店という感じで、故郷に帰ったような感覚がして良い。

お会計はノドグロのお陰で少し高く付いたが、新鮮な地元の料理を食べる事が出来て我慢した甲斐があったと満足してお店を出る。

少し歩くと民家の隙間から灯台の頭が見えてきた。
この日御碕の灯台は世界的にも有名らしく、灯台としての価値は非常に高いものだそう。
近づいてみると大きさもさる事ながらその真っ白な外壁は存在感がかなりある。

日御碕
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
日御碕灯台
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / Classic Chrome

普段見ないような大きな物を見ると不思議な感じがする。
無機物なのはわかっているのに、生きているように思えてしまう。
かといってこの感覚は高層ビルでは感じられない。
だだっ広い所に一本だけ何か立っていたりすると感じる。
昔見たウルトラマンだとか怪獣だとかの影響だろうか。

日御碕灯台
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS

この灯台の辺りの地質は1600万年前に噴火した流紋岩が冷えて固まって出来たもので、柱状節理という割れ方をした岩肌が露出している。
整備された歩道もあるがそこから外れるとその岩肌に直に触れられる。

この柱状節理は4〜6角形が重なった幾何学模様に割れるというもので、人の身体には決して優しくはない。
上手く歩かないとたまに痛いし、こけたりしたら間違いなく血を見る。
だが、そうやって身体で大地を感じるのは嬉しいことだ。

柏陵園
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
日御碕
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
日御碕
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
日御碕
X-Pro2 + XF23mm F1.4 R / ACROS
柱状節理
X-Pro2 + OM Zuiko 50mm F1.8 / Classic Chrome
柱状節理
X-Pro2 + OM Zuiko 50mm F1.8 / Classic Chrome

気がつけば長い時間崖の上で過ごしていた。
目の前には広い海、足下には剥き出しの大地、そして頭上には晴れた空。
何て幸せな時間なんだ。

夕方になり日御碕を後にする。
バスには乗客が数人。
ここも静かな時間。
窓の外には傾いてる太陽と照らされる海が広がり、みんな写真を撮る。

日御碕 バス

途中稲佐の浜のバス停で乗客の一人が降りた。
夕陽を見るのだろうか。確かに晴れてるしきっと綺麗だろうな。
いいなぁ、僕も降りようかな。
でもバスに乗ってからどっと疲れが出ているし、今日はもう休もう…

そうして出雲大社のそばのバス停に降りる。
陽はだいぶ傾いている。

今回の宿は出雲大社の近くのほぼ素泊まりの安い宿で、歩いて10分も掛からない所。
よし、今日は休むぞ、と思いながら歩くも西の方向の空の色が何だか良い色になっているのが気になってしまう。

出雲の日の入りは有難いものらしいしなぁ。
でも疲れてるしなぁ。
日の入り時刻まで…あと40分。
ここから稲佐の浜まで歩いて…google mapだと25分かぁ。
でも疲れてるしなぁ。
でも見逃すのも何だかなぁ。
明日のバスも遅い時間だから最悪明日に…
看板も見えたしもうちょっと真っ直ぐ歩けば宿に着くなぁ。
あ、曲がり道がある。

…曲がっちゃった。

という事で結局20分ぐらい重たい足を動かして海の方まで戻ってしまった。

出雲市
X-Pro2 + XF23mm F1.4 / Classic Chrome

だが疲れてはいたがそれも忘れるぐらい夕陽は美しかった。
戻って正解だった。

稲佐の浜の日の入り
X-Pro2 + XF23mm F1.4 / Classic Chrome

稲佐の浜まではもう少し、という所で写真を撮っていると散歩していた地元のお母さんに話し掛けられた。
広島から来たと伝えると「まぁ〜」と驚いてくれたが、その後話してくれた言葉が印象的だった。

「この夕陽を毎日見られる事が本当に幸せなんです。毎日この時間散歩して、夕陽を見て、家に帰ってご飯を食べるんです。とっても幸せ。」

毎日幸せ。
言葉としてはシンプルだが、こんなに力のある言葉はない。
綺麗な夕日が毎日見られる。
たったそれだけの事だがそれが幸せだと感じる事が出来る。
僕は毎日幸せだろうか。
いや今の僕の心では毎日幸せだとは感じられていない。
だが、何だか心の曇りを少し晴らして頂けた気分だった。
やはり戻って良かった。

稲佐の浜には夕陽を見る人々が沢山いた。

仕事終わりっぽい格好の人、中学生ぐらいの男の子達、仲良く並ぶカップル、大きなカメラを構えてる人、さっきバスを降りた人もやっぱりいた。

みんなそれぞれ夕陽を見ている。
みんな幸せを感じているのだろうか。

稲佐の浜の日の入り
X-Pro2 + XF23mm F1.4 / ACROS
稲佐の浜の日の入り
X-Pro2 + OM Zuiko 50mm F1.8 / Classic Chrome

沈んで行く太陽を眺めながら、僕にとっての幸せは何だろうか、と少し考える。
写真を撮る事は幸せなのだろうか。
いや、おそらく写真は手段であってそれ自体は多分幸せな行為ではないと思う。
じゃあ新しい景色に出会う事?
なにかを作り出す事?

なんて考えていたら目の前の夕陽がどんどん沈んでしまう。

いかん、とりあえず今の僕は写真を撮ろう。

考えるのはまた後でいいか。

X-Pro2 + XF23mm F1.4 / Classic Chrome

という事で二日目、後編へ続く

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA